2018年「建築設備士」受験記録その2:一次試験の勉強方法

建築設備士の記事2つめです。私が一次試験のために独学した方法や、気付いたことなどを書きます。

なお、知識レベルの前提として、この時点では消防設備士(甲種一類)と学会設備士(空調、衛生)を持っていました。

目次

  1. 一次試験の内容
  2. 準備
    1. 用意するもの
    2. 問題集を分冊化する
    3. 過去問をエクセルにまとめる
    4. 勉強計画を立てる
  3. 勉強の進め方
    1. すきま時間に勉強する
    2. 各年度の同ジャンル問題を一度に勉強する
    3. 「一般知識」と「設備」はひたすら暗記
    4. 「法規」は法令集を作ってから速引きの練習
  4. 実際どのくらい勉強したかというと

1.一次試験の内容

3つの分野に分かれます。すべてマークシート式、五肢択一です。配点は1問1点。国家試験なので合格基準が明確です。

  • 建築一般知識  30問(合格基準点は12点)
  • 建築法規  20問(10点)
  • 建築設備  50問(25点)
  • 計100問(60点)

2.準備

2-1.用意するもの

  1. 過去問が5年分載った問題集。日建学院と総合資格学院から出ています。私はぱっと見のデザインで日建学院にしました。
  2. 法令集。いろいろな出版社から出ています。私は王道感がある井上書院の「建築設備関係法令集」にしました。
  3. 法令集にひたすら貼り付けるための付箋。紙ではなくフィルムタイプのなるべく細いもの。枚数が必要なので100均でまとめ買いしました。
  4. 無印良品の80円のメモ帳。ノートよりも使いやすい。
  5. マスキングテープ。ホームセンターで売っている、現場用の白くて安くて大量に入ってるもの。
日建学院建築設備士教材研究会|建築資料研究社|2019/2/4
国土交通省住宅局建築指導課|井上書院|2019/1/24

2-2.問題集を分冊化する

私は家だけでなく、会社や喫茶店でも勉強します。なぜなら家だと誘惑が多くて勉強できないから。しかし、建築設備士の過去問題集は分厚くて重たいので(全780ページ、厚さ約3cm、重さ1kg以上)、とても持ち歩く気になれません。

そこで、まずは問題集を章ごとに分解しました。つまり、表紙と本文をばらしてから、本文を章ごとに千切りました。

ちぎった背中の部分のノリが気になる場合は、カッターでバリを落としてからメンディングテープを貼ると、きれいに仕上がります。本を壊すことに抵抗がある方にはお勧めできませんが、これで、どこにでも問題を持ち運んで勉強できるようになります。

2-3.過去問をエクセルにまとめる

資格試験に合格したければ、過去問の分析は必須です。建築設備士は過去問が公開されているので、まず最初に過去5年分の出題項目をExcelでまとめました。

これで、どんな問題があるのかとか、計算問題はどこで何問出るのかとか、試験全体の概要をつかみます。また、これに勉強した箇所を書き込んでいけば、「いま過去問何周目か」といった進捗の把握にも使えます。

2-4.勉強計画を立てる

過去問の傾向を調べたら、次はスケジュールを立てます。方法はこうです。

  1. 手帳を開きます。マンスリーなどの、長期的な予定を把握しやすいページが良いでしょう。
  2. 今日の日付に印をつけます。
  3. 一次試験当日の日付に印をつけます。
  4. 一次試験の1週間前の日付に「1W」と書きます。
  5. 同じく、2週間前に「2W」、3週間前に「3W」…という具合に、今日まで数えて書き込みます。試験まで、残り何週間ありましたか?4月に始めたとしたら12Wくらいになると思います。
  6. 続いて、先ほど作ったExcelを眺めます。数えた週数でこの過去問を全部こなすには、1週間あたり何問取り組めば良いでしょうか?ということは、1日では?と、考えていきます。
  7. ノルマを決めたら、手帳にざっくりと書き込みます。完成です。

3.勉強の進め方

3-1.すきま時間に勉強する

過去問の分冊は、常に持ち歩きます。そして、5分でも隙間時間ができたら勉強します。 例えば平日だったら、朝会社に着いてPCを立ち上げている間、昼休みにご飯を食べてから昼寝するまでの間、夕方PCを落としてから退勤するまでの間、などです。 くれぐれも「まとまった時間を作って落ち着いて勉強しよう」などとは思わないことです。社会人にまとまった時間などありません。

 勉強したらExcelにチェックをします。一次試験は筆記のみなので、基本的にはこの繰り返しです。

3-2.各年度の同ジャンル問題を一度に勉強する

過去問を解く順番ですが、問題集の始めから順に「去年のQ1~最後まで、一昨年のQ1~最後まで、2年前のQ1~最後まで…」という風に進めたのでは、暗記するのが大変です。 試験では毎年似たような問題が出るので、ジャンルごとに過去5年分をまとめてやったほうが楽だと思います。

例えば、「建築一般知識」のQ1~Q4までは、建築計画の問題が出ます。過去5年分の出題内容はこんな感じです。

この場合は、

  • 集合住宅(H29~H25のQ1)
  • 商業建築(H29~H25のQ2)
  • 病院(H29のQ3、H27のQ3、H25のQ3)
  • 免震(H29のQ4、H25のQ4)
  • 公共建築(H28のQ3、H26のQ3)
  • 建築計画(H28のQ4、H27のQ4、H26のQ4)

という6ジャンルに分けられますので、それぞれ集中して勉強すれば効率的です。

3-3.「建築一般知識」と「建築設備」はひたすら暗記

この二つは同じ方法で勉強しました。私のやり方はこうです。

  1. すきま時間を見つけて、過去問を解く。
  2. 解説の覚えたいところにマーカーを引いて、無印良品のメモ帳に書く。
  3. メモをトイレの壁に貼る。覚えたら剥がす。

これだけ。

ノートでなく無印のメモ帳を使うのは、

  • どこの無印でも確実に売っており、入手しやすい。
  • 一冊80円なので惜しみなくじゃんじゃん使える。
  • 小さいので持ち運びやすい。
  • 紙の面積が小さいのですぐに1ページ埋まる→メモ帳がどんどん減る→ものすごく勉強しているようで気分が良くなる。
  • 普通のノートを前にした時の「きちんときれいに書かねば」という強迫観念に陥らないで済む。
  • わざわざページを開かなくても、トイレの壁に貼れば中身が一目瞭然。勉強結果を死蔵しないで済む。

といった理由からです。メモ帳最高。

また、暗記用のメモは「わざわざ何かしなくても、生活の中で自然に目に入る状態」にしておくのが肝心です。

その意味で、トイレに貼るメリットは、起きた直後から夜寝る前までいつでも目に入るので「あーそういえば建築設備士受けるんだった」と、意識せずとも覚えていられることにあります。 しかし、人が来た時にトイレを見せると引かれる、というデメリットもあります。

ちなみに、一次試験用のメモはこのくらい書きました。 メモ帳2冊分くらい?

3-4.「建築法規」は法令集を作ってから速引きの練習

法規は法令集が重たいので、基本的には自宅での勉強となります。

そして、法規は前述の方法では勉強できません。なぜなら、暗記する必要がないからです。 一次試験は法令集の持ち込みが可能です。そして法令集の中には、法規の問題の答えがすべて載っています。 つまり、法規の試験対策というのは、「法令集から該当の法律をいかに早く探し出せるようにするか」なのです。

しかしこの法令集というもの、実に難解です。私は今回初めて使ったのですが、過去問の解答に書いてある法律を探すだけでも、慣れるまでは結構大変でした。 「暗記する必要がないんだから、法規は後回しでいいやー」などと甘く見てはいけません。

これを踏まえて、私のおすすめするやり方はこうです。

  1. 最初は問題を解かずに、いきなり解答を見て、書いてある条文を法令集から探す。
  2. 見つけたら、アンダーライン&付箋をつける。これを各問5項目×1年分20問×5年分=500回繰り返します。まさに地獄。しかしこれをやっていると、法令集の扱いに慣れます。
  3. 全部付箋をつけたら、問題集の最初に戻って、実際に問題を解いてみる。

なお、ひとくちに「アンダーライン&付箋貼り」といっても、どのくらい加工していいかは気になるところだと思います。 試験の時には試験官が回ってきて、法令集を一冊ずつ手に取ってパラパラめくって中身をチェックされるのですが、少なくとも    蛍光ペンでマーカーする、色ペンで下線を引く、項目名を書き込んだ付箋を見出しのように貼る、はOKでした。

完成した私の法令集がこちら。

最初から付箋の色にはこだわりをもって作っていたのですが、途中から付箋を貼る場所にも意味を持たせた方がいいなと気づき、気がつくと必要以上の付箋量になっていました。今ならもっとシンプルに作れるはず。もう二度と作りたくないけど。

この付箋の貼り方、いかに自分にとって探しやすいように付箋を貼るかは、この試験においてものすごく重要だと思っています。 付箋の検索性は解答時間の長短に直結するからです。法規をさっさと正しく解答すれば、その分だけ一般知識に時間と脳を使えます。

法令集のカスタマイズについては、書き足りないので別記事を書くかもしれません。

4.  実際どのくらい勉強したかというと

ネットを見ていると「過去問5年分を3回転」という意見をよく見かけたので、当初は私もそのくらいやるつもりでした。が、日常のあれこれに追われたり、勉強が嫌になって放置したりしてしまったので、実際にやれたのは

  • 一般知識→ 5年分を2回ずつ
  • 法規→直近2年だけ2回、後の3年は1回
  • 設備→ 直近3年を2回、後の2年はやらず

 とまあ、このくらいです。設備は時間がなくなったので、半年前に学会設備士を受けたばかりだしなんとかなるだろと思って、後半は捨てました。しかしこれでも何とか受かりました(66/100点なので胸は張れません。せめて70点は取りたかった)。


以上が、私の一次試験対策でした。勉強のことはこのくらいにして、次の記事では一次試験当日の事を書きます。

投稿者:

たかは志

建築設備士・一級建築士ブロガーで、サブコンのCADの人です。好きなダクトは給気ダクト。 一級建築士の戦績はR2学科独学74点不合格→2020秋から総合資格に通学→R3学科97点でそのまま製図ストレート合格しました。 ストレングスファインダーのトップ5は学習欲、収集心、責任感、内省、親密性です。よろしくお願いします。