上野の国立西洋美術館で「ル・コルビジェ 絵画から建築へ─ピュリスムの時代」展を見てきました。おかげでピュリスムとキュビズムの関係性をようやく理解しました。そしてコルビュジェが建築家のほかにも画家で著述家で編集者であったと目の当たりにして、なんかもうダヴィンチじゃんと思いました。天才。
展覧会自体は絵画がメインだったので、建築目当てで行った自分としては正直、拍子抜けの感はありました。でも展示を見ているうちに、たぶんコルビュジェにとっては建築も絵画も著述も全部同じことなんだろうなーと思えてきました。考えているのは同じことで、表現方法を変えているだけというか。いろいろなことを細かく分業しようとするのは近代の悪癖かもしれない。
が、なんといっても国立西洋美術館は建物がコルビュジェ設計なので、空間と相まって展示の説得力がすごかった。入口の「19世紀ホール」からスロープで二階に上がっていくところなんか、くるくる光景が変わって劇的でした。
そしてこの建物の中で、私が一番心惹かれたのがここです。
企画展示室から出た所の階段の壁。たぶん還気のガラリだと思うんですけど、なにこのアスペクト比。これ壁裏どうなってんの?なんかもうとにかくバランスが完璧すぎて、茶室かよと思いました。世界遺産ってこういうことだよなー。手を抜かなさが凄い。
ちなみに19世紀ホールの給気VHSはこんな感じでした。有り余る空間に対してこの縦横比。そしてセンター合わせになどしないこの配置、完璧な平面構成。これはあれかな、ハネウェルの温湿度計BOXでバランスとってんのかな。
これ、現行版の白いやつに更新されちゃうと台無しだから、設備更新の時にもこのまま残してあげてほしいですね。
というわけで、デザインの神は細部に宿るという格言を目の当たりにした国立西洋美術館でした。しかし、こういう建物の壁床プロット図とかは描きたくないですね。センスのなさが如実にでてしまう。
「上野でコルビュジェがコルビュジェたるゆえんは設備フェイスにまで手を抜かない所なんだろうなと思った話」への1件のフィードバック
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