夏休みが終わると作図が終わって、いよいよエスキスと記述が本格化します。とはいえ作図エスキスとは違って記述は解答例を渡されるだけだし、土日は学校に缶詰めだし、平日は生きて復習と宿題するのに必死だしで、落ち着いて記述を勉強する隙間なんてどこにもないですよね。
そんな中でもどうにかして記述を覚えるために、R3に私がやっていた勉強方法とかコツをまとめてみました。製図受験生の方のご参考になれば幸いです。
もくじ
1.まずは記述の「型」を知る
2.当年度の解答キーワードを暗記する(インプット)
3.暗記したキーワードを型にあてはめて、「建築士らしい文面」で作文する(アウトプット)
4.文字のきれいさ(読みやすさ)について
1.まずは記述の「型」を知る
ご存知の通り、一級建築士試験における記述には基本構文(=型)があります。つまり、
○○は△△に配慮して、□□となるように計画した。
○○は□□とすることで、△△に配慮した。
みたいなやつです。これが、同じ内容でも
○○は△△なので、□□みたいにした。
というような砕けた文体だと、稚拙すぎて試験的にはよろしくないですよね。一級建築士になろうというからには、国家資格保持者にふさわしい品位のある文体と言い回しが求められますので、まずはこれを覚えます。
覚え方は、記述の解答例サンプルをひたすら見るのが手っ取り早いです。総合資格生なら「記述解答のための基礎知識」という冊子が渡されていると思いますが、これの最後に載っている「記述解答例(参考)」の部分ですね。まずはこれをバーっと見て構文を頭に叩き込みます。
が、実際はそんなことをしている余力がないので、私は人見知りマンさんがnoteで販売されている音声教材を買って通勤、食事、入浴中に聞いていました。学科のデジトレもそうですが、耳から覚えるのは隙間時間にできるので、楽ちんでおすすめです。
このときついでに、よく出る問題とその解答も覚えます。構造とかは毎年RC造で変わらないので、基本丸暗記でいけます(もちろん本質を理解した上での丸暗記です)(付け焼き刃の丸暗記は、この試験においては無意味です)。
2.当年度の問題と解答を暗記する(インプット)
とはいえ人見知りマンさんの音声教材はあくまでも内容が一般論なので、構文把握用に留めるべきだと私は思います(※R4向けの音声は事務所ビルに特化した内容になっているとのことですが、私は未聴なのでなんともいえません)。
それではその年の記述対策として真に暗記すべきものは何かというと、やはり学校から毎週渡される記述解答例です。これの精度は間違いないので、これを毎週暗記すればいいわけです。あの学科試験を越えてきた皆さんなら、それぞれ独自の暗記方法を確立されているでしょうから、お好みのやり方で暗記しまくって下さい。
覚え方その1 紙
私は当初、暗記のために学科と同じく「キーワードを無印のメモ帳に書き出してトイレに貼る」ということをしていましたが、途中からメモを書く時間さえ惜しくなり、最終的には解答例の紙をそのままトイレに貼っていました。
覚え方その2 録音
あとはやはり、音声学習がおすすめです。つまり、自分で解答例を音読して、その声を録音するということです。使うアプリは、iPhone標準の「ボイスメモ」で充分だと思います。
とはいえ、自分の声を聞くのって激しく苦痛ですよね。声が嫌で内容が頭に入ってこないと意味がないので、そんな時は音声データの再生に「ハヤえもん」というアプリがおすすめです。これは原音の再生速度とか音程を変えたり、各種イコライザーをかけたりできるので、自分の声を元がわからなくなるまで加工して聞くことが可能です。苦痛が減ります。
なお、ハヤえもんに音声データを入れるにはDropboxを経由するので、Dropboxのアカウントも必要になります。
まとめるとと、私は毎週月曜夜にボイスメモで録音した音声をDropbox経由でハヤえもんに入れて、火曜から日曜日まで聞いて覚える、ということをしていました。脳も手も目も他でいっぱいで、耳くらいしか空いてるところがありませんでしたから。
何をどのくらい暗記すればよいか
音声でも紙でもどんな方法でもいいので、問題を見て、解答欄が埋まる程度にキーワードを思い浮かべられればOKです。例えばR3のこの問題。
(2)住戸間の床や界壁の遮音対策について工夫したこと
https://www.jaeic.or.jp/shiken/1k/1k-mondai.files/1k-2021-2nd-mondai.pdf 令和三年一級建築士試験「設計製図の試験」問題用紙 3.計画の要点等 より引用
この問題文を見たら、「床→重量衝撃音、スラブ厚200、軽量衝撃音、乾式二重床、壁→空気伝搬音、壁厚200」とかのキーワードが頭に浮かべばいいということです。これを本試験まで毎週積み重ねます。
3.暗記したキーワードを型にあてはめて、「建築士らしい文面」で作文する(アウトプット)
ここまでのインプットで必要なパーツは脳に入っているはずなので、アウトプットは毎週学校の授業と宿題でやるだけで充分だと思います。ただでさえ作図で手が死んでるので、作文で更に手を使うのはなるべく避けた方が無難です。腱鞘炎気味の方は特に、本試験まで腕を保つことに注力ください。
4.文字のきれいさ(読みやすさ)について
他の人の手書き文字って見たことありますか?私はこれまで自分の字は汚い方だと思って生きてきたのですが、学校で記述を交換添削した時に、世の中の大人は意外と私よりも字が汚いと知ってびっくりしました。作図エスキスで時間を取られたせいで30分で殴り書きした私の記述(下の写真参照)でさえ、字が読みやすくてきれいと言われたのです。うっそやろと思いましたが、確かに世の中には、かろうじて読めないこともない というレベルの手書き文字もあるということを、交換添削で知りました。
何が言いたいかというと、読めない文字だと採点官への印象は悪くなるんじゃなかろうか、ということです。読めない文字の記述と図面を見るのは結構な苦痛を伴いますので、採点官を味方につけるためにも、字が汚い自覚がある方は本試験までに少しでも読みやすい文字を書く努力をなさったほうが賢明なのでは。と、老婆心ながら思います。
参考までに、これが私が30分で殴り書きした記述です。目安として、これより字が汚い方は要注意。
字をきれいに書くトレーニングは、市販のペン字練習帳がいいと思います。ダイソーでも売ってますので、ひらがなだけでも意識して書くと見栄えが良くなりますよ。と、老婆心ながら思います。
以上、記述の勉強方法でした。本試験直前の記述勉強法もあるんですが、それは別記事でまとめて書くつもりでいます。